骨太の方針、外国人就労で新制度 宿泊業など対象へ


 政府は15日、「経済財政運営と改革の基本方針2018」(骨太の方針)を閣議決定した。「力強い経済成長の実現に向けた重点的な取組」として、就労を目的とした外国人の新たな在留資格の創設を盛り込んだ。宿泊業など人手不足が深刻な業種を対象に、来年にも新制度が設けられる見通しだ。

 新制度について、「生産性向上や国内人材の確保のための取組(女性・高齢者の就業促進、人手不足を踏まえた処遇の改善等)を行ってもなお、当該業種の存続・発展のために外国人材の受入れが必要と認められる業種において行う」とした。宿泊、農業、介護、建設、造船の5業種が対象になるとみられる。

 各業種の所管省庁が定める知識・技能試験と、日常会話レベルの日本語能力試験を受けてもらい、合格者に上限5年の在留資格を与える。技能実習生として最長5年の実習を修了した外国人は試験を免除。新制度により新たに上限5年の在留資格を与える。

 受け入れ企業や法務大臣が認めた登録支援機関が主体となり、生活ガイダンスの実施、相談・苦情対応など、就労外国人を支援する仕組みも設ける。

 政府は関連法案を秋の臨時国会に提出し、来年4月に新制度の開始を目指す方針だ。

 骨太方針では「観光立国の実現」にも言及。2020年に訪日外国人旅行者数4千万人、消費額8兆円を達成するため、新たに創設する国際観光旅客税の活用などで「ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備など、より高次元な施策を展開する」とした。

     ◇

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会の多田計介会長は、今回の新制度に関して次のようにコメントした。

 今、さまざまな業界で人手不足がまん延している。われわれ宿泊業界も例外ではなく、この問題は喫緊に解決すべき問題だと認識している。

 そうした中、今回、その現状と必要性を捉えて、「骨太の方針」で(外国人就労者の)対象業種を柔軟に拡大するということなので、私たち宿泊業界にもチャンスがあるのではないかと期待している。

 法務省を中心とする関係省庁の今後の取り組みを見守りつつ、われわれにできることを始めたいと思う。

 従来の外国人技能実習制度においては、どの分野においても業界としての関与がなかったことを不思議に思っていた。国境を越える問題なので、当事者同士だけに任せるのには限界があり、今回、登録支援機関が設けられることは、業界としてもこのことにしっかりと責任を持つようにという示唆だと理解している。しっかりとこのことを受け止め、全旅連としてもこの登録支援機関に積極的に手を挙げようと思う。

 インバウンドという大きな潮流をつくってくれた国に応えるため、われわれでできることはわれわれですべきだと思っている。

 私たち宿泊業はサービス産業の最たるものであり、そのサービスクオリティは人によって決まる。優良な人材を確保し、親身になって育成し、日本を好きになって母国に帰ってもらい、そのノウハウを生かせる職に就いてもらう。そこまでがわれわれの使命であると思っている。そのためには、宿泊業界独自の仕組み作りを考えなければならないと思う。

 
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